2014年3月24日月曜日

旧小笠原伯爵邸③-居室

玄関のドアを潜ると、雲間に鳩が飛び交うステンドグラスの天窓から射す明かりが歓迎してくれます。 小さなステンドガラスですが奥行きのある絵柄で、鳩と一緒に天に昇るようなワクワク気分が盛り上がります。 オリジナルは小川三知による物ですが、再建時に当時の写真を元に再現したものが使われているそうです。
クロークと奥の廊下への仕切りの装飾はガーデン・パーゴラっぽくて、屋内でこうした誂えは珍しいのではないでしょうか? ステンドグラスの絵柄と相まって、不思議な解放感を感じるロビーです。


奥に進むと二手に分かれた廊下に続きます。 左手はこの御屋敷の社交のスペース、右手はプライベートスペースに進むようになっています。

まずは左手に進んで見ます。 この廊下は中庭への出入り口があり、ちょっとしたテラスの様です。 中庭を囲む口の形の建物は珍しくありませんが、これ程中庭との一体感を感じる廊下はそうそうありません。 日本家屋の縁側にちょっと近いかも。

最初の部屋はグランドルーム、かつて伯爵一家の食堂だった部屋です。 中央に置かれているテーブルは唯一残された、建築当時の家具だそうです。 驚く程大きなテーブルですが、伯爵夫妻には5男6女を持たれていたそうで、11人で一斉に食事を取ろうとするとこれくらいの大きさは必要ですね!
窓にある大きな窓は磨りガラスになっており、その樹木の色がうっすらと透けてとても印象的でした。 訪れたのは午後だったため室内は薄暗くて壁紙があまり良く見えませんが、金唐革紙でしょうか? とても豪華なものに見えました。



グランドルームを抜けるとかつての応接間へと続きます。
この部屋の家具や照明は写真を元にヨーロッパから取り寄せて忠実に当時の雰囲気を再現しているそうで、非常に調和がとれています。 とてもロマンチックで、軽くて長いスカートの婦人達の笑い声が聞こえてきそう。

こちらのステンドグラスも小川三知作で、オリジナルを修理して使用されています。
目のすぐ傍で見るもののせいか、模様はち密ですが柔らかな色調でデザインされています。 無地の部分に透ける緑も綺麗で、庭で摘んだお花が活けてあるみたい。 壁のレリーフの花にもこの色合いを重ねて楽しみました。

   


応接間の奥にはこの建物のクライマックスとも言うべきシガールームがあります。
当時シガールームはイスラム風に作るものとされていたそうで、ここでも装飾は全てイスラム風です。
庭から見た時に可愛らしいタイルの装飾が施されていた円柱部分の内部は、こんなオトコマエの部屋と言う裏切り! ヨーロッパ風のロマンチックな応接間の奥はイスラムの世界と言う驚き! なんともドラマチックな展開です。

モザイク模様に組まれた床や彫刻が施された柱の大理石、壁の装飾などは当時のものがそのまま使用されています。 家具については情報が得られませんでしたが、革張りのドッシリした椅子も、部屋の形を意識した六角形のテーブルも、重厚でゴージャスな雰囲気が部屋にぴったりです。
現在も喫煙室として使われているそうですが、この部屋に紙巻きたばこは失礼ですナ。 是非とも葉巻で気取って欲しいものです。

これ以外の部屋はレストランの飲食スペースとして使われています。 そちらについては続きにて・・・。
→旧小笠原伯爵邸①-外観
→旧小笠原伯爵邸②-庭
□旧小笠原伯爵邸③-居室
→旧小笠原伯爵邸④-レストラン
→旧小笠原伯爵邸⑤-パティオ~屋上

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