道連れは1DX2に、16-35mm,70-200mmです。
会場に着くとチケット売り場は例によっての大行列でしたが、事前にオンラインチケットを買っておいたのでスラリと入場できました。
会場に入ると最初は『スラヴ叙事詩』が展示されています。 当初は撮影だけが目当てだったのですが、実物を見ると思わず引き込まれてしまいました。 巨大な画面を存分に生かした構成、テーマを明確にする色使い、巧みな光の使い方、人々の雄弁な表情、迷いのない筆遣い、そして尽きることのない情熱。
歴史に名を残す偉大な作家さんにこの言葉を使うのがどれほど不遜かは知りつつも、一言で表すならやはり「巧い」の言葉しかありません。 これまでミュシャに対するイメージは「器用なイラストレーターさん」だったのですが、「偉大な絵描き」さんと認識を改めました。
通常の展示エリアでは作品の巨大さに合わせて奥行きが充分に取られているため、人が多くてもあまり気になりません。 中央にソファも置かれて、ヨーロッパの美術館にでも居るような気分で作品を鑑賞できます。
しかし撮影が許されている一室のみは大混雑。 人が写らないように作品に近寄ると16mmでは画角が足りません。 皆さん思い思いに撮影して楽しそうでしたが、それだけに画の前の滞在時間が長いのが辛いけど、コレはお互い様ですネw。 それよりもセルフィーが居なかったマナーの良さに、ちょっと感動しました。
イヴァンチッチェの兄弟団学校 — クラリツェ聖書の印刷
どの作品もポスター同様に彩度も濃淡も控えめでとても淡く、ヒストグラムで言うと2/3くらいしか使っていなさそう。 色の向こうに色を感じるような美しさでした。 壁面の紫も絶妙な色選びだったと思います。
聖アトス山 — 正教会のヴァチカン
画面上部にモザイク画で描かれた平面的なマリア像と、手前の写実的な人物とドラマチックな光の対比が面白い作品。
スラヴの菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い — スラヴ民族復興
撮影可能なコーナーで唯一ミュシャらしい美人さんが描かれた作品。 この女性はミュシャの娘ヤロスラヴァがモデルとなっており、1928年の初展示の際のポスターでも主題となっています。
彼女は当然ながら大人気で、なかなか正面から撮影することができませんw。
ロシアの農奴制廃止 — 自由な労働は国家の礎
一連の作品はどれも一部だけを切り取っても一枚の画として成り立ちます。 大きな作品はどうれもそうなのか、ポスターを特異とした彼ならではのものなのか?
スラヴ民族の賛歌 — スラブ民族は人類のために
スラブ民族の独立を祝う、『スラブ叙事詩』の集大成の作品です。 ミュシャにとっても20年近くに及ぶ製作のフィナーレで、爆発するような熱は彼自身の歓喜であったかもしれません。
『スラブ叙事詩』の後はポスターや挿絵が展示されていますが、こちらは阿鼻叫喚の大混雑。 何故だ!?
逃げ出すように再び『スラブ叙事詩』の展示コーナーに戻って、一通り反芻して会場を後にしました。 退場する際に図録ゲットして早速パラパラすると・・・ナンじゃこの印刷! 彩度が高過ぎる上にコントラストも強すぎで、大部分が「絵の具の色」になってしまっています。 実物を見ていなければこんなことには気付けず、撮影可能でなければ私が見た色を残すこともできませんでした。
5点のみとは云え撮影可能であったナイスな企画に感謝しながら、本日のお散歩はこれにて終了♪